
長崎県ご出身の横尾初喜監督による3作目の全編長崎ロケ映画「いろは」が、いよいよ本日令和8年5月22日より全国で公開となります。長崎の美しい海と自然を背景に、ある姉妹二人の葛藤と成長が描かれます。ぜひ多くの方々にご覧いただければと存じます。
なお、前回の長崎ロケ映画「こん、こん。」に出演した私は、今回は一切出演しておりませんw 先日先行公開されていた「ローソン・ユナイテッドシネマ長崎」で一足お先に拝見いたしましたので、レビューをさせていただきます。
「ロードムービー」というのは、映画のひとつのジャンルとしてかなり大まかながらも確立されているものではあるようです。いわゆる「旅物語映画」であり、主人公が、もしくは主人公と何人かが一緒に旅に出て、その中でのハプニング、出会いと別れなどがありながら、誰かが成長したり変化したりするといったものです。世界的に知られているものと言えば「イージーライダー」や「スタンドバイミー」ということになるでしょうし、日本なら「男はつらいよ」でしょうか。ただ、「旅物語」であれば「オズの魔法使い」や「ピーターパン」という架空の世界でもオッケーですし、「逃亡型ロードムービー」というジャンルでは「地獄の逃避行」に加えて「ルパン三世カリオストロの城」まで入っちゃったりと、もう本当に「旅」していれば何でもありみたいっすね。もはや時代劇「水戸黄門」もドラマ「西遊記」もありありでしょうかw
早速話題がずれてしまいましたが、この映画のテーマはまさしく「姉妹喧嘩」です。「姉妹喧嘩ロードムービー」です。自己肯定感に乏しくラジオ番組への投稿と人間洞察にふけこんでいる引きこもりの妹「いろは」と、周囲からちやほやされるものの浅薄な人間関係に翻弄されている姉「かれん」。キャラクターは対照的ながらいずれも「生きづらさ」を背負っていた二人が、姉の「妊娠」という事実を受けて激しく交錯し始めるというストーリーです。
以下は、映画を最後まで観ての感想です。あまりストーリーをお知りになりたくないということであれば、映画をご覧になってから下の文章をご一読いただければと存じます。
「生物学的男性」の私にとって、お二人の女性の葛藤を自分事として共感するのはなかなか困難ではございましたが、最初のほうでセリフにも出てくるんですけど、「スクールカースト」という言葉は一つのキーワードだと思いました。私は幼少時その「最底辺」で学校生活に苦労した人間でしたので、映画の冒頭では、親や周囲から常に姉と比較されて苦労した妹「いろは」のほうに共感の余地があったのは言うまでもございません。
「スクールカースト」は、Geminiによるとその意味を「主に小学校高学年から高校にかけてのクラス内で自然発生する、生徒間の『人気』や『コミュニケーション能力』に基づく序列・階層構造」と表現しています。まさに姉の「かれん」は「人気」や「コミュニケーション能力」が(何となく先天的に)恵まれていたために、幼少時からスクールカーストの頂点に「君臨」してちやほやされていたのだろうなと思いました。人格の「表裏」を使い分けたまま大人になって、薄っぺらい交流を広げに広げて、異性関係を重ねても本当に心を許せるような深い関係性には至らぬまま、妊娠が発覚してしまう。そんな危機的状況の中で助けを求められそうなのが妹だった(しかいなかった)、というところからストーリーが展開します。
これはまさに、スクールカースト「君臨者」の「悲哀」と呼ばずにはいられませんでした。最初の妹の誘い方には素直さの欠片も無く悪意さえ感じられるものでしたが、妹に自分の交流の様を見せてゆく中で、何かが間違っていたことに気付いてゆくという展開です。(映画館で聴いてきただけなので正確には違うセリフかもしれませんが)「だから友達いないんだろ」と妹を露骨に批判していた姉が、クライマックスではついに、「友達おらんもん」と口をついてしまう。映画の後半では姉の方に共感してしまいました。
本来の姉妹の絆を取り戻した二人は、最後何処へ向かったのでしょうか? きっと両親の対応に辟易するのも面倒でしょうから、福岡に向かってそのまま福岡で暮らし始めてしまったのではないでしょうか。ただでさえ人口減少全国1位の佐世保市から、また二人若者が減ってしまったのですよきっと。すいません、佐世保の皆様を敵に回すつもりはありませんが、「長崎行ったことあるよ、ハウステンボス良いところだね」とよく言われて困惑する長崎市民の気持ちにもなってみてくださいw
場面の移り変わりには、本来美しい長崎県の海や自然の光景が、赤い「ミニ」とそれを走る道路を中心に、より美しく映し出されてゆきます。諫早湾堤防道路のドローン映像は特に印象的でした。また、登場する3人の「彼氏」それぞれの「だめんず」ぶりも三者三様に最高でございました。特に今回が復帰作となった遠藤健慎(えんどうけんしん)さんのダメっぷりは秀逸! でも、おにぎり食べてても、妊娠告げられて「無理~」とか言ってひれ伏してても、やっぱりイケメンでしたわ~w これからのご活躍に期待しております。
映画「いろは」は現在「ローソン・ユナイテッドシネマ長崎」、「佐世保シネマボックス太陽」で公開中でして、本日5月22日より「ヒューマントラストシネマ渋谷」など全国の映画館で順次公開となります。映画館でぜひご覧くださいませ!

