The Beatles “Lucy in the Sky with Diamonds”
まず最初に言っておきたいのですが、なぜ沢尻エリカさんは今撮影しているドラマを降板しないといけないのでしょうか? 彼女が処罰をうけるべき「犯罪者」だからですか? 薬物で「キメた後」だったとか「らりっている」かもしれない彼女を観たくない、キモチワルイからですか? 「社会的道義」に背いた「自己責任」があるからですか?
なんすかそれ?
沢尻エリカさんを非難するなら、ビートルズを聴くな!!!!!
今日は本当に怒っています! ワイドショーもニュースも本当にひどいですね! 最近薬物に関する報道に対しての世間の目が変化しているのを知ってか知らずか、彼らは過去の映像を持ち出して、ここぞとばかりに沢尻さんの人格否定です。「別に」とかの映像を、なんで今見直さなきゃいけないんだよ! 過去の謝罪のインタビューとか今回の件と全く関係無いだろ! 朝から気分が悪い! テレビをとっとと消して職場に向かいたいんだが、、、ちきしょう、泣き顔が可愛いすぎて見とれてしまう、、、。
美貌を兼ね備え、あまりにも高いステータスに立ちながら、手のひらを返されたような日本中のバッシングに遭っていた当時の彼女は、まだ21歳でした。無理だとわかっていても、ちょっとは想像してみようと思わないのですか? 若い彼女の壮大すぎたであろう、悲しみや孤独を!!!
沢尻さんの逮捕の一報を聴いてからここ数日、私はFacebookに薬物依存に関する記事などを気づいたら10個くらいシェアしていて、そんな自分にびっくりしてしまいました。それだけ今回の報道の在り方に怒りを覚えていました。沢尻さん主演の映画で私が最も好きなのは「ヘルタースケルター」ですが、演じた「りりこ」の役柄を地で行ってしまったように思えて本当に残念です。しかし、今後もし彼女が薬物依存に正しく理解を示し治療に向き合って復帰を目指すのであれば、彼女は間違いなくアイコン(カリスマ)となって多くの依存症の患者さんに希望を与えてくれるはずです。それを期待することに早い遅いはない!「今は復帰について議論する段階にない」とか言っているコメンテーターは大概いつまでたっても「反省が不十分」とか「説明責任」とか同じことを言っているに違いありません。釈放されたら速やかに治療に向き合い、回復を進めていただきたいと思います。
来年のNHKの大河ドラマで重要な役をしていて、もうかなり撮影が進んでいるそうで、みんな頭をかかえているそうです。そんじゃあ、代役を立てますか? 違約金を払ってもらいますか? そんなことして誰が得しますか? 全くそんな必要はありません。沢尻さんはそのうち釈放されますから、そうしたらまた、沢尻さんが現場に戻って続きを収録すれば良いのです! 治療は外来でも十分に可能です!
こんなことを言うと返ってくる論理が、最初に出てきた3つの言葉です。犯罪者? キメた後? 自己責任? 、、、いい加減にしろ! これらは差別です! スティグマです! その言葉が彼女をはじめ、日本中の依存症に苦しむ方々をどれだけ傷つけているか!
違法薬物を使う人は自分とは別の世界にいる人でしょうか? 誰だって、追い詰められたときや孤独を感じたとき、何かに頼りたい、すがりたいと思ったことはあるはずです。酒、ギャンブル、異性、そして薬物、、、。今回話題にあがっている合成麻薬MDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン)は「愛の薬」とも呼ばれ、幻覚や興奮作用等とともに「他者への共感」を上げる作用があるとも言われています。様々な葛藤があったり、緊張が強かったりして赤の他人と打ち解けるのがどうしても苦手、そんな人がMDMAの力を借りて交流を図ろうとする、、、このような状況が容易に想像つきませんか? 沢尻エリカさんはけして我々と違う世界に住んでいる人ではないということ、そして、誰もが薬物依存に陥る可能性があること、これをいい加減、知ってもらえませんか? そうすれば、もう最初のような差別の言葉が出てくるはずがありません。
幸いにも、ユーチューバー「せやろがいおじさん」が、このことを最も的確に説明してくれていますので、下にリンクを貼っておきます。
人類の歴史で最も有名なロックバンド「ザ・ビートルズ」のメンバーも薬物の影響を受けていたそうです。彼らは幻覚作用の強いLSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)を常用し、使用した時に生じた幻聴を音楽として具現化したものがあるそうです。「Tomorrow Never Knows」はその影響を受けた曲のひとつとされています。いつか起床音楽に採用すると思いますが、今日は敢えてリンクを貼ります。なお、この曲が収録されたアルバム「リボルバー」が発売されたのが1966年。アメリカが世界に先んじてLSDの所持を禁止したのが1968年でしたから、「リボルバー」を制作していた当時、まだLSDは違法薬物ではなかったのです。当時もそれ以降も、多くの有名なロックバンドのメンバーが薬物を使用し、曲を制作するにあたってその影響を受けていたことはよく知られている事実です。
今朝は、1967年の「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」に収められた、頭文字をとると「LSD」になることで有名なこの曲を選ばせていただきました。ジョン・レノンはその事実を「偶然」と語ったそうですが、ポール・マッカートニーはこの曲が確かに薬物にインスパイアされたことを認めたそうです。ジョンの息子ジュリアンの描いた友達「ルーシー」の絵からひらめいたといわれるミステリアスな音楽は「サイケデリック」と言われるジャンルの名曲になりました。エチオピアで見つかった化石人骨が「ルーシー」と名付けられたのは、発掘作業時にビートルズの音楽が流れていたからってご存知ですか? つまりそれはリュック・ベッソン監督作品の映画「ルーシー」にもつながるわけですから、ああ、情報量多すぎだわ、、、。
もちろん、今日の投稿を通じて違法薬物を容認したり賞賛したりするつもりは全くありません。依存薬物に対するもっとも理想的な社会のあり方は、その所持や使用が「違法」であることを「合法」に変えることではありません。「違法」であるまま処罰を軽減して(できれば罰則なしとして)依存をきたしてしまった状態をきちんと治療に向かわせることができる法整備と、依存状態からの回復や再起を受け入れられる寛容な文化の醸成です。
今日の話は自分でも飛躍気味だなと感じていますし、もし私の意見によって議論が巻き起こってくれたならば光栄にさえ思います。でも、もしかしたら私の意見を「甘い」と一蹴するなんて方もいらっしゃるのでしょうね。そんな方はきっと精神科医療そのものにも嫌悪感や不信感を持っているに違いありません。それはそれで構いませんが、どうかご自身の行動に矛盾は無いようにされてください。
薬物依存を非難するなら、ロックを聴くな!!!!!
《追記》先ほどオーソリティーの先生に投稿をシェアしていただきました。本当に光栄です。ありがとうございます。以前ピエール瀧さんの報道の際に書いた投稿もございますので、よろしければこちらもご一読いただければ幸甚です。