大島ミチル 横山鼎 “千羽鶴”
8月9日、80年目の「長崎原爆の日」を迎えました。かねてから申し上げます通り、本日長崎にいらっしゃる皆様にお願いがございます。午前11時2分、1分間の黙祷をお願いいたします。「原子力はいらない」、「今の政治が許せない」といった強い想いがあり、長崎で声を上げられたい気持ちは理解いたします。しかし、長崎の8月9日は追悼の日です。平和祈念式典は追悼の式典です。原爆の投下された11時2分、その1分間だけは声を出さず目を閉じ、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊に思いを馳せ、追悼してください。何卒お願い申し上げます。
被爆80年の今日に楽曲を流すのもおこがましい気持ちはございましたが、この楽曲が日本全国、世界各国の人々に届いてほしいという思いから選曲いたしました。合唱曲「千羽鶴」です。この楽曲は毎年平和祈念式典で歌われていますが、それだけではないのです。私は公私にわたって何かと長崎市役所にお電話を入れることがしばしばありますが、長崎市役所の電話保留音はみなこのメロディーで統一されています。そして、原子爆弾で亡くなられた方々の月命日である毎月9日の11時2分には、防災行政無線のスピーカーで同じく「千羽鶴」のメロディーが流れるのです。それだけ長崎市民にはなじみ深い楽曲なのです。
この楽曲は1995年、被爆50年を迎えるにあたって長崎出身の音楽家、大島ミチルさん作曲、島根大学の名誉教授であられる横山鼎さん作詞で制作されました。それから30年間長崎市民の生活に溶け込み歌い継がれてきたこの楽曲は。これからも永く継承され、きっと核兵器廃絶と世界平和の道標となるでしょう、そうなれるよう私たち長崎市民は声を上げ続けなくてはなりません。
原爆死没者の御霊に哀悼の誠を捧げるとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

