安室奈美恵 “Sweet 19 Blues”
今日で引退となる安室奈美恵さんの曲です。この曲には個人的な思い入れが多く、自分が一般の方向けに講演するときに歌詞を引用したりしています。以下、チョー真面目な話ですが、ちゃんとオチは用意していますのでぜひご覧くださいm(__)m
企業におけるメンタル対策をどうするか、、、この話題は組織で働く多くの社会人にとって懸案となっています。特に50~60代の上司や責任者が、20~30代の部下にどう接していいかよくわからなくなってしまっています。「叱ったら会社に来なくなってしまった」、「業務指導がパワハラで訴えられそうになった」、「メンタルで休職した部下が復帰するときどう接するのか?」。年齢が上がるほど、そしてこれまでの日本の企業社会でうまく適応してきたサラリーマンほど、様々なキャラクターを持つ若い社会人に柔軟に対応するのが難しくなります。「最近の若い者は困難に向き合った経験が少ない! 未熟だ! 傷ついたり挫折した経験が少ない!」なんて平然と言ったりもする。
そこで私は、専門家の立場からというより、36歳の「若造」のひとりだからこそ言えることがあると思い、繰り返し主張していることがあります。
~それではお尋ねします。「最近の子供たち」についてはどう思いますか?
50代以上の世代の方々の一般的な意見はこうではないでしょうか。
「キャリアママだの、両親共働きで親子関係が希薄化している。家事はなんでも機械がやってくれるから、家族が寄りそって生活する必然性が薄れたのだ。外で遊ぶのは危ない(紫外線、遊具の事故)からといって屋内でゲームばっかり(SWITCHとか)やってる。直接対面せず、ケータイでばっかりコミュニケーションしていて、人間関係の構築能力が足りなくなっている!」
~ではもうひとつお尋ねします。私を含めた、「30年前の子供たち」はどうでしたか?
もう「かぎっ子」って言葉があり、30年前も両親共働きの家庭で親子関係は希薄化がみられていました。家事はなんでも機械がやってくれるから、家族寄りそって生活する必然性はすでに薄れていました。当時は「交通戦争」で年間1万人以上が事故で即死するような時代、外で遊ぶのは十分に危なかったので屋内でゲームばっかり(ファミコン、ゲームボーイ)をやってました。直接対面するのはみんな苦手で、ケータイはありませんでしたが、すでにポケットベル!! ポケベルがありましたよ!! 最近の子供たちと同様に、人間関係の構築能力は足りなくなっていたということになるのでしょうか?
日本の企業社会システムの主体は1960年代の高度経済成長期を前提に形成されたものといわれますが、これだけ変化の激しい現在でもそのシステムはあまり変化していません。価値観・人生観の多様化にはまったくついていってませんし、そのシステムを定年退職まで「コンプリート」する人も減り続けています。もはや、当たり前(主体)ではありません。「発達障害」とか「現代型うつ」にこだわる前に考えてほしい。この「システム」に適応できることだけが人間の価値なのでしょうか? このシステムにおける「職場」は、生まれた環境や社会が全く異なるそれぞれの「世代」が(多くの場合)ランダムに集められた「特殊な場所」です。だからこそ部下への対応は、「世代」の違いを考慮することが大切になります。
若い部下の「語り」は未熟に感じるでしょう。でもそれはすべてが否定されるべき内容ですか? 採用の如何は別としても、意見や主張に対する肯定的な評価は若い部下を安心させ、上司であるあなたの信頼を高める方向に作用します。若い世代の多くは「教科」ばかりを勉強する受験戦争を戦い抜いてきました。業績を伸ばすためのスキルはしっかり持っているはずです。「人生勉強」は出来ていないので期待するほどの即戦力にはならないかもしれませんが、だからこそ育てる視点があっても良いのではないでしょうか? 何より多くの若者が目上の人に渇望しているものは、「理解してもらった」という安心感です。それは「関係が希薄化」してしまった両親からは得られなかったものなのです。親でなく、学校でなく、あなた方上司が与えられる安心感からしか、部下の変化(内省・人格の成長)は始まらないのです!
熱くなってしまいましたが、「企業のメンタルヘルスをどうするか」などといった講演で、以上のことをよく訴えております。
(なお、この論説は長くお世話になっている私自身のボスの意見をインテグレートして出来上がったものです。「企業社会システム」のくだりは、昨年多数のダウンロードで話題となった経済産業省の若手プロジェクト、「不安な個人、立ちすくむ国家」からの引用になります。)
http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdfさて、音楽に戻りましょう。ポケベル、そう、ポケットベルですww ポケベルのくだりを話すときに、時間があれば安室ちゃんのこの歌を取り上げるのです。
「部屋で電話を待つよりも 歩いてるときに誰か ベルを鳴らして」
ポケベルが隆盛を極めた当時、私は中学生で寮生活を送っていました。今でもそうかもしれませんが、当時の多くの学生は寮で自習時間が終わる23時30分になるとだいたい飢餓に陥りww、カップラーメンなど食糧を送ってほしいと実家に電話するため、消灯(就寝)時間までの30分の自由時間の間に公衆電話に行列を作っていたのです。ところがいつしかその行列は長ーくなるようになり、ついには消灯までに公衆電話にありつけないなんて事態が出てくるようになりました! その原因がポケベルでした!!
公衆電話の受話器を猛烈な勢いで取り上げ、10円を入れ、すさまじい速さでボタンを叩き、ガチャっと切ってまた行列の後ろに並ぶ! その後私が「母さんチキンラーメン送って~」などと電話しているときに「ピピー!」と強烈なブザー音を鳴らし、私の後ろでイライラしている先輩方がいらっしゃる!( ;∀;) 私が電話を切った後その先輩はまた受話器を猛烈な勢いで取り上げ! 10円を入れ! すさまじい速さでボタンを叩き! ガチャっと切ってまた行列の後ろに並ぶ!
たぶん「アイシテル」とか「オヤスミ」とかの短い伝言を「打電」していたのでしょうね。あの短かったポケベル全盛の時代に、確かに存在した寮の特異な光景、、、20年以上経って講演や講義のひとネタにするとは思いもよりませんでした。おしまいm(__)m